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調査研究(平成18年度)

中小規模事業所における主体的な健康職場づくりの推進に有効な支援ツールならびに支援方策の開発と検証

主任研究者 東京産業保健推進センター 相談員 錦戸 典子
共同研究者 東京産業保健推進センター 相談員 加藤登紀子
    小澤乃智子
    齋藤 照代
    土屋 譲
    北條 稔
神奈川産業保健推進センター 相談員 富山 明子
埼玉産業保健推進センター 相談員 市原 千里
東海大学健康科学部 相談員 福田英子
    川上裕子
    土屋典子
主任研究者 東京産業保健推進センター
相談員 錦戸 典子
共同研究者 東京産業保健推進センター
相談員
  • 加藤登紀子
  • 小澤乃智子
  • 齋藤 照代
  • 土屋 譲
  • 北條 稔
神奈川産業保健推進センター
相談員
  • 富山 明子
埼玉産業保健推進センター
相談員
  • 市原 千里
東海大学健康科学部
相談員
  • 福田英子
  • 川上裕子
  • 土屋典子

I. はじめに

中小規模事業所における主体的な健康職場づくりを広く推進するためには、地域に存在する多機関・多職種からの支援が必要と考えられる。そこで、本研究では、地域産業保健センターや保健所などの公的支援機関を初めとして、労働衛生サービス機関などの民間機関、ならびに医療保険者等、さまざまな事業所外支援機関からの中小規模事業所への健康支援の現状と課題を明らかにし、今後の中小規模事業所における主体的な健康職場づくりの推進に寄与する有効な支援方策を明らかにすることを目的とした。特に、中小規模事業所の実情やニーズに基づいて最近開発された健康職場づくりのための支援ツール(「元気職場づくり支援ツール」)に着目し、各支援機関における活用可能性についてヒアリング調査を行うとともに、モデル事業を行ってその効果を検証し、今後の活用に向けて検討したいと考えた。今回は、支援機関へのヒアリング調査結果を中心に報告する。

II. 対象と方法

2006年8~12月、都内10箇所の地域産業保健センターのコーディネーター(保健師ならびに事務職)と登録産業医、都内2箇所の保健所の保健師と事務職、東京・神奈川・埼玉の労働衛生サービス機関3箇所の保健師と事務職、総合健康保険組合の保健師、労働組合の企画担当者、社会保険労務士など、多機関・多職種を対象として、中小規模事業所への支援の現状と課題、他機関との連携状況、ならびに、「元気職場づくり支援ツール」(以下支援ツール)の活用可能性等についての半構成面接を実施した。また、地域産業保健センターの登録事業所を対象に、支援ツールを用いたモデル事業を展開して、その効果を検証した。

III. 結果・考察

地域産業保健センターのコーディネーター、ならびに関係諸機関へのヒアリングの結果、中小規模事業所の主体的な健康職場づくりの支援の重要性は感じながらも、そのための支援方策が分からないことや、業務多忙等の理由のため、取り組めていない現状が明らかとなり、今回の研究事業で用いたような支援ツールがあると支援を展開しやすくなるとの評価が得られた。また、実際に支援ツールを用いた支援活動を展開した結果、事業所にとっても、また支援サービスの提供者にとっても、健康職場づくりの推進に役立つ可能性が示唆された。 支援ツールを用いる具体的なメリットとして、事業所にとっては次の2つのレベルでの支援機能を有していると考えられた。第1に、健康職場づくりへの関心を高めるために活用することができ、成功事例等をわかりやすく示すことによって、あまり関心がない事業所への動機付けになることが示唆された。第2に、健康職場づくりへの関心を持ち始めた事業所に対して、具体的で豊富な情報を提供することにより、取り組み内容や進め方の具体的な指針を示すことができ、実際の活動の開始や進展につながるといった効用が挙げられた。一方、支援の提供者である専門職にとっても、支援ツールを用いることによって、産業保健の視点の確認ができ、各種の地域資源の探索などによいガイドとなること等の効用があることが挙げられた。また、これらの支援ツールを用いることで、事業所への説明がしやすくなり、事業所の担当者とイメージを共有するのに役立つとの評価も得られた。保健医療専門職を事業所内に持たない中小規模事業所数が膨大であることから、地域のさまざまな支援機関が連携して中小事業所を支援していく必要があることは明らかであり、地域・職域連携の推進が急務となっている。また、平成20年度からの医療保険者への特定健診・特定保健指導の義務づけに向けて、医療保険者だけでなく多くの民間事業者が新規参入に動いており、これまで産業保健分野での支援経験のない保健師・管理栄養士等の専門職が、今後中小規模事業所で働く労働者への保健指導に関わる可能性が高いと考えられる。さらに、50人未満の小規模事業所への代表的な健康支援機関と位置づけられている地域産業保健センターの支援サービスの担い手である登録産業医も、通常は開業医または勤務医として臨床医学・医療実践に携わっている者が殆どであり、事業所支援には不慣れな場合も少なくない。これらの背景から、中小規模事業所への健康支援サービスの担い手にとっても、産業保健の視点や活用できる地域資源情報などを随時確認・活用できる支援ツールがあることによって、一般的な指導だけなく労働の視点を入れたより効果的な保健指導を展開することが可能になると考えられる。さらに、労働者の健康支援を効果的に進めていくためには、個別のハイリスクアプローチだけでなく、健康的な職場風土・環境づくりのために働きかけるポピュレーションアプローチを同時に行っていくことが大変重要と考えられるが、これらの支援ツールが、そのための有用な媒体となることが、期待される。

IV. 結論

これらの支援ツール等を活用することにより、中小規模事業所の主体的な健康職場づくりの支援に向けての、地域の多機関・多職種の参画、ならびにその連携活動が推進しやすくなる可能性が示唆された。

産業保健情報

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