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調査研究(平成9年度)

作業環境測定結果の評価に基づく措置に関する実態調査

総   括 埼玉産業保健推進センター 所 長 伊藤  勇
共同研究者 埼玉産業保健推進センター 相談員 生駒 賢治
    植田 康久
    府川 栄二
    藤田 寿久
  副所長 蓜島  明
総   括 埼玉産業保健推進センター
所 長 伊藤  勇
共同研究者 埼玉産業保健推進センター
相談員
  • 生駒 賢治
  • 植田 康久
  • 府川 栄二
  • 藤田 寿久
副所長 蓜島  明

I. はじめに

昨年度はアンケート形式による「作業環境測定結果の活用状況に関する実態調査」を実施した。今年度は昨年度回答のあった事業場のうち、作業環境測定を実施し、その結果を評価して、作業環境の改善に結びつけたと回答した事業場をリストアップし、労働衛生工学担当相談員2名による実地調査を行うこととした。
実地調査は、予めセンターから質問用紙を同封のうえ文書で依頼を行ったのち、各相談員から前回記載担当者に電話し、同意を得られた事業場を訪問して実施することとした。
期待どおりには行かなかった部分もあるが、事業場からの産業保健推進センターへの理解を深める狙いからは、相談員の聞き取り調査ならではの大きな成果があったと確信している。

II. 作業環境測定結果及びその評価

作業環境測定そのものは、不定期に使用する物質の場合を除けば、各事業場とも定期的に実施されていたが、稀には数年前までの測定結果(騒音関係)しか示せない事業場もあり、改善の効果が測定によって確かめられていない事例もあった。自社測定事業場の中で、作業環境測定結果報告書(証明書)のモデル様式の改正は作業環境測定機関のみを対象としたものと理解していた例があり、記載例など情報提供をする必要があった。

III. 結果と考察

対象事業場の多くは労働者数が、昨年度回答に見られる人数よりも大幅に減少しており、企業のリストラの厳しさを実感させたが、このようないわゆる不況時代にあっても、作業環境改善には積極的に投資を行っている事業場が見られた。

集計結果から、次の傾向があるといえる。
1. 第III管理区分と評価された職場については、作業環境改善が必要だとの理解がされている。

改善実績  管理区分III ⇒ I  : 7事業場

2. 第II管理区分からの改善も行われている。

改善実績  管理区分II ⇒ I  : 4事業場

3. 第I管理区分であっても、さらなる改善が行われている。

改善実績  管理区分I ⇒ I  : 4事業場

4. 改善を検討したものの改善に結びつかなかった事例もある。(把握できただけで5例あった)

IV. 産業保健推進センターと作業環境改善

作業環境改善事例の収集という目的を抱いて、各事業場を訪問したが、「見せられるほどの改善ではない」といわれて、現場見学どころか、図面等の提示も断られる事例が少なくなかった。しかし、相談員の実力が正当に評価されて、センターと事業場の接点ができたという事例もある。

V. 作業環境測定士と作業環境改善

作業環境測定結果・評価を環境改善に結び付ける上で作業環境測定士の果たす役割は大きい。作業環境測定機関のコメントが事業場の環境改善意欲を刺激するのは当然の結果であるが、自社作業環境測定士が環境改善に深く関わっている事例の多いことを確認できたのは収穫の一つである。測定士の努力が事業場で正しく評価されるよう期待したい。

Ⅵ. 衛生管理者と作業環境改善善

作業環境改善において栄瀬管理者の果たす割合は大きい。安全衛生(衛生)委員会での立場も安定し、環境改善への意思決定に大きく関わっている。衛生管理者は産業医にもっとも近い、重要な位置にあることを活用して産業医の指導を引き出してほしい。(環境改善に産業医の関与を認める例が少ない。)

Ⅶ. 結果と考察

今回の調査は、環境改善における優良事業場を対象に行ったことを念頭におく必要があるが、作業環境測定結果・評価を活用して環境改善を進めている実態が明らかになった。
事業場では衛生管理者の立場が認められてきており、産業医の適切な指導により、衛生スタッフの納能力が一段と向上し、事業場の作業環境管理が一層進展するよう、センターからも支援していきたい。

産業保健情報

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